面影橋姉妹の日々

突然意識不明になってしまった妹と姉の日々を綴ります

落ち葉の季節

ゆきが逝って、夏が終わり、秋も深まりました。 木々が紅葉して、街は落ち葉がいっぱいです。 実家のマンションは、40年ほど前に建てられた大規模マンションで、敷地内の植栽は、年月を経て、ちょっとした森林公園のようになっています。サクラ、ハナミズキ…

姉妹

淋しい。 淋しい時には、淋しがるしかない。 誰の言葉だったっけ。 街を歩いていて、気がつくとゆきに似合いそうな服を探しているし、一緒に来たところや、ゆきの話の中に出てきたところを見ると、悲しくなります。今まで、何でもゆきに相談してきたし、これ…

遅れたけど

気がつくと、夜中まで賑やかだった蝉の声はまばらになって、アオマツムシの鳴き声が聞こえてくるようになりました。 葬儀に参列してくださった、妹がとても親しくしていた方のところへご挨拶に行きました。妹が以前住んでいた私鉄駅前のイタリアンレストラン…

好きだったもの

葬儀を終えてからは、いろいろな手続き、葬儀の精算、返礼品の手配、と毎日があっという間に過ぎていきます。父の眼科通院も、今までは介護タクシーをお願いして行っていましたが、初めて自分の車で行くことができました。父は、少し食欲が落ちてはいますが…

お別れ

妹の葬儀を執り行わなければなりません。それなのに、妹の長男がコロナに感染したらしいというのです。7歳下の次男が喪主になるとしても、本人は不安そうです。そんな時、従姉妹が教えてくれたのは、最近、何人かが連名で喪主になることが多いということでし…

旅立ち

あまりにも急に、妹は旅立ちました。 朝、病院から、発熱して肺炎の兆候があるので、面会に来てくださいとの電話を受けて、出かけて行くと、もう心臓が止まりました、と言われたのです。 12月に倒れ、2月に今の病院に転院してから、コロナのために面会できな…

夏!

市役所へは歩いて15分くらいで行けます。私の地方都市的感覚では、とても近い! 途中、長い垣根に沿った歩道を歩くのですが、ベニカナメモチやサザンカ、マサキなどの混ぜ垣に、盛大につる草が絡んで夏の真っ盛りという感じです。ヤブカラシ、ヘクソカヅラ、…

記録

妹には、メモや記録をつける習慣がありました。 毎日の買い物メモ、生協の注文や日々の献立、飼い猫まるくんの飼育メモには、食べたフードの量、飲んだ水の量、おしっこの量まで!何もそこまで記録しなくてもいいと思うのですが、これは、前にフェレットを飼…

宝くじとダウジング

実家から歩いて15分くらいのところに、宝くじ売り場があります。妹は、以前宝くじ売り場で働いていたことがあり、宝くじには馴染みがあります。父も、スクラッチをやるのが大好きなので、父の日や誕生日のプレゼントの定番になっています。よく妹と2人で買い…

介護は続く

父はあと半月で92歳になります。在宅酸素の濃度は、4〜6リットルと、だんだん厳しくなってきていますが、食事、トイレ、入浴は介助なし、服薬も概ね大丈夫です。それでも、寝起きは特に、間違い、勘違いがよくあるので、酸素の管理や、薬の確認は欠かせませ…

雑草くん

散歩の途中、いろいろな植物を目にします。店先の植え込みや、庭の草花、道端の雑草などが育っていくのを見て、季節の移り変わりを知ることができます。最近は、知らない植物があると、名前を調べられるアプリがあるので、便利に使っています。 いつも歩いて…

図書館にて 絵本はセラピー!

毎日している散歩も、木枯らしの頃から、いつの間にか夏の暑さに汗をかくようになりました。散歩コースの最後は、マンション敷地内のスーパーで、買い物して帰ることにしていますが、このスーパーの3階に市立図書館があります。私は、長年小学校の図書室でパ…

レイキとの出会い

いろいろ検索していた時、私が釘付けになったのは、レイキでした。ハンドパワーの一種で、ずいぶん前から、知ってはいましたし、妹にピアノレイキというCDをプレゼントしたりしていたのですが、ちゃんと理解していませんでした。レイキは、スピリチュアルや…

面会解禁

6月から、妹の病院の面会が解禁になりました。と言っても、月に2回、1名ずつ、5分間だけなので、6月は長男と次男が行き、7月の1回目で私、という順番です。5ヶ月ぶりにゆきに会える!先に行った甥っ子たちから様子は聞いていましたが、やはり自分で会ってみ…

お墓参り

実家のお墓は、10年ほど前に購入した、都内の納骨堂です。父が働いていたところの近くで、みんなからアクセスが良いところという理由で選び、両親と妹のお墓に、戒名もついています。妹は、当時、離婚を考えていたことと、絶対に夫と同じお墓に入りたくない…

写真

実家にいる時間が長いので、少しは片付けようと、物入れや引き出しなどを整理していたら、写真がたくさん出てきました。父や母が若かりし頃の白黒写真、まだ赤ん坊の私や妹の写真、親戚たちや見覚えのある場所の写真もありました。親戚の多くは既に鬼籍に入…

ネットに助けられて

今まで、私にとって、スマートフォンは、便利だけど、十分には使いこなせないものでした。よく、家に忘れて出かけたり、どこかに置き忘れたり… それが今では、何より大事な、お守りのような、頼みの綱です。パソコンなど持たずにやってきた私は、スマートフ…

あじさい

梅雨に入り、ベランダではアジサイの花が咲き始めました。花は3つ、冴え冴えしたブルーがきれいです。去年はこの倍くらい花が付いて、妹は喜んでいました。隣のクチナシも、20以上も蕾を付けて、咲き始めた花からいい香りが漂っています。クチナシは、母の…

矛盾

突然、予想もしないことが起こって、自分が昏睡状態に陥ったとしたら… 普段からそんな状況に備えて何かしている人は、そんなに多くないと思います。 うちの場合も、元々、高齢の両親だけが住んでいた家だったため、妹の印鑑、通帳、保険証券や、着替えさえ、…

悲しみの中で

妹は、倒れて4ヶ月が過ぎて、眠ったまま61歳の誕生日を迎えました。昨年の誕生日はどうしていたのか、何をプレゼントしたのか、なかなか思い出せません。 突然、妹がいなくなった実家には、何もかもが妹がいた時のまま残されています。飲みかけのペットボト…

私の妹、

ゆきは、私とは、外見も性格も全く違いました。周りを気にせず、あまり女らしくない私に対して、周りをよく見て、敵を作らない、女子力の高い妹。若い時は、反発し合って、仲のよくない姉妹でした。お互いに結婚し、子供ができて、いろいろ経験していくうち…

父との暮らし

父と、猫のまるくんと、私との生活も、数ヶ月になり、ようやくペースがつかめるようになってきました。実家といっても、私が出てから引っ越して来た家なので、訪れてはいても、住んだことはありません。お店や、公共施設も馴染みがなく、教えてくれる人もい…

どこにいるの?

妹は、眠ったまま、転院先の病院に移りました。 病院と言っても、外来の患者がフロアで順番を待っているような病院ではありません。入院患者が、ひっそりと、淡々と、最低限の対応で、日々を過ごすための病院です。折しも、コロナのオミクロン株が広がってき…

長期療養型病院へ

近年、医療が進歩して、心肺停止から蘇生するケースは増加しているといいますが、その7割が蘇生後脳症になるそうです。脳がどんなダメージを受けているかによって症状も様々になり、妹の場合は、ほとんど自発呼吸がないため、気管切開して人工呼吸器を装着し…

面影橋

タイトルがなぜ面影橋姉妹なのかというと、私と妹が育った団地の名前が面影橋住宅だったからです。新宿区戸塚一丁目410番地、都電荒川線の面影橋駅から徒歩3分の、4階建ての建物が4棟ある団地でした。小さな池が3つと、砂場と原っぱもあります。隣接して甘…

空しい抵抗

病院の医師も、ソーシャルワーカーも、当たり前のように長期療養型病院へ、と言いますが、そこでは、積極的な治療はできないとのこと。要するに、現状維持で、何があっても、看取るだけ、という病院なのです。事務的で、取り付く島もない言葉でした。まだ、…

目を覚まして!

妹が倒れてから3週間ほどでクリスマスがやってきました。実家の玄関ドアには、私が前の年に作ってプレゼントしたリースが飾ってありました。部屋の壁には大きなタペストリーも貼ってあります。星空の中を、サンタクロースのそりが飛んでいるデザインで、いく…

病院で

妹が運ばれた病院は、国立S病院。3次救急の大きな病院です。コロナ禍の中では幸運だったと思います。病院に着くと、妹の2人の息子たちも来ていました。不安の中で待ち続けたあと、そこで告げられたのは辛い現実でした。妹の症状は、不整脈による心肺停止と、…

晴天の霹靂

私は、群馬県の地方都市で、のんびりと老後を迎えようとしていた主婦です。2人の息子は独立し、家には夫と3匹の猫がいます。趣味は手作りと保護猫活動のお手伝い。実家は埼玉で、3歳下の妹ゆきが91歳の父と猫のまるくんの世話をしながら暮らしていました。 …